無口な患者とのコミュニケーション

患者の中には、おしゃべり好きで看護師の仕事に支障がでるほどに、要件の定まらない会話を無自覚にし続ける人もいれば、反対に無口で、あまり言葉を発することがないタイプの人もいます。話好き過ぎる人も大いに困ってしまいますが、やはりほとんど話さない人の方が、問題になることがあります。

それは治療に必要な情報さえ、医師や看護師に話そうとしないケースです。
自分の思いや現在置かれている環境について、内に押さえ込んで決して発しないだけではなく、肝心の痛みや症状なども我慢して口を閉ざしてしまい、それが結果的に有効な治療の妨げになってしまうということがあります。
そういった患者とのコミュニケーションには苦慮しますが、大切なポイントは、コミュニケーションは、言葉によるものだけで成り立っているのではないということです。ちょっとした仕草や表情にもその人の気持ちは表れてくるので、敏感にそれらを汲み取ろうとする意志が大切です。
さらには、そういった患者に対し、根気強く声がけをすることはもちろん、言葉以外の優しさや気遣いを感じさせる立ち居振る舞いを心掛けると良いでしょう。

心に留めて置く必要があるのは、無口で話をしないからといって、その人が何も感じていない、何も考えていないというわけでは決してないということです。口にしない分、他の人以上に、内面では様々な感情や思いが渦巻いている場合もあります。
表面的な様子にとらわれることなく、人として敬意を持って関わっていくことが大事です。